定額or定率?減価償却費の計算方法をまとめます!

「減価償却費」という言葉に聞き馴染みはありますか?
個人事業主で毎年確定申告をしている方や、所有している不動産の売却をしたもしくは検討している方はよく聞く言葉だと思います。
僕も不動産投資を始め、確定申告をするときにちょこっと勉強しました。

これから不動産を所有しようかと思っている方や今年から個人事業主になり、初めて確定申告をしなければならない方のために、減価償却費の算出方法についてまとめていきたいと思います。

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そもそも減価償却とは??

世の中には”資産”と呼ばれるものがいくつか存在します。

不動産投資をしているなら「不動産」
農業をしているなら「農業機具」
プログラマーなら「PC」

「資産」とは収益を得るために購入したもののことです。
収益を得るために購入したので、資産の購入金額は会計処理上は、経費として扱うことができます。
経費の計上では、資産の耐用年数が重要になります。
耐用年数を経過するまで1年ずつ価値が減少していき、その減少額を年間の経費として計上します。
このような経費の計上方法を”減価償却”と言います。

耐用年数は資産ごとに決められており、例えば投資用不動産であれば、鉄筋コンクリート造であれば47年、木造であれば22年、また農業器具であれば7年、PCは4年となっています。
ちなみに2007年以降に購入した資産は、耐用年数を過ぎたあとはその資産が廃棄もしくは売却されるまで毎年1円を経費として計上するそうです。

また、土地などの時間の経過や使用により価値が下がらないものは減価償却できませんので注意が必要です。

減価償却費を計算してみよう!

減価償却の正体がわかったので次は、具体例を示しながら実際に減価償却費を計算していきましょう。

今回は僕が持っている不動産を具体例としてみます。

資産投資用新築不動産(鉄筋コンクリート造)
耐用年数47年
購入金額3,170万円(建物1,790万円+土地1,380万円)

では実際に減価償却費を計算していくわけですが、計算方法が2つあるので2パターン計算します。

①定額法
②定率法

①定額法

定額法とは、文字の意味通りなのですが、耐用年数の間、毎年同じ額の減価償却を行う方法です。
なので計算自体はとても簡単です。

\begin{align}減価償却費=購入金額(建物代金)÷耐用年数\end{align}

\begin{align}380,851(円)≒17,900,000(円)÷47(年)\end{align}

となります。

②定率法

定率法未償却残高に毎年一定の償却率を掛けて減価償却費を算出する方法です。
未償却残高とは、資産取得費から毎年の減価償却費を引いた、まだ償却されていない金額のことです。

定率法の償却率も資産の耐用年数によって変化します。
耐用年数47年の場合は、

償却率0.053
改定償却率0.056
保証率0.01153

となります。
ですので初年度の減価償却費は、

\begin{align}減価償却費=購入金額(建物代金)×償却率\end{align}

\begin{align}948,700(円)=17,900,000(円)×0.053\end{align}

となります。
この金額は定額法と比べると倍以上高いことがわかります。
定率法では、取得したての頃は減価償却費を高くし、耐用年数に近づいてくるとどんどん減価償却費が安くなるような計算方法だということがわかりますね。

ちなみに2年目の減価償却費の算出式は

\begin{align}減価償却費=(建物代金−初年度の減価償却費)×償却率\end{align}

\begin{align}898,418≒(17,900,000−948,700)×0.053\end{align}

という形でどんどん償却費が下がっていきます。

そういえば、先ほどの表で改定償却率と保証率という言葉が出てきたので解説します。

改定償却率とは?

定率法で計算する場合、毎年だんだん未償却残高が減っていきますが、耐用年数に近づいてくると減価償却費が償却保証額を下回ってしまうことがあります。
減価償却費は償却保証額を下回ってはいけないため、これまで計算で使っていた償却率ではなく、改定償却率を用いて減価償却費を算出する必要があります。
このときに使う比率のことを言います。

保証率

先程出てきた償却保証額を求める計算で使用します。
計算式は取得価格×保証率で求めます。
今回の具体例の場合は、

\begin{align}償却保証額=購入代金(建物代金)×保証率\end{align}

\begin{align}206,387(円)=17,900,000(円)×0.01153\end{align}

中古資産の耐用年数の考え方

新築の場合は単純に建物の構造やモノの種類で耐用年数が決まりますが、中古を購入した場合は少し計算する必要があります。

パターン① 耐用年数を過ぎていない資産を購入した場合

この場合は以下の式で減価償却できる期間を算出します。

\begin{align}減価償却期間=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%\end{align}

例えば、築15年の投資用木造住宅(耐用年数22年)を購入した場合は、
\begin{align}(22-15)+15×20%=10年\end{align}

減価償却できる期間は10年間ということになります。

パターン② 耐用年数を過ぎた資産を購入した場合

この場合は以下の式で減価償却期間を算出します。

\begin{align}減価償却期間=法定耐用年数×20%\end{align}

例えば築55年の投資用鉄筋コンクリート造マンションを購入した場合は、
\begin{align}47×20%=9年\end{align}

減価償却できる期間は9年間となります。

まとめ

この記事のまとめをしていきます。

  • 減価償却費とは、価値が減少していく資産の購入金額を耐用年数に分散させて経費として計上する金額のことです。
  • 減価償却費の計算方法は、①定額法と②定率法の2種類ある。
  • ①定額法に比べ、②定率法は購入当初の減価償却費が高く、耐用年数に近づくにつれてどんどん減っていくため、購入当初の節税効果が高くなります。
  • 中古資産を購入した場合、耐用年数を過ぎていなければ、耐用年数までの残りの年数+経過年数の20%の期間で減価償却を行います。耐用年数を過ぎていれば、耐用年数の20%の期間で減価償却を行います。

自分で確定申告を行うことができれば、税理士の費用も抑えられるし、知識もつくのでとてもいいことだと思います。
今年度は自分で確定申告の作成にチャレンジしてみてください!

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