老後の大きな収入源となる年金。
年金は20歳〜60歳までの国民年金保険料の納めた額に応じて65歳から年金として受給することができます。
どのように国民年金保険料を納めているかというと、会社員であれば毎月の給料から天引きされる形で納付しています。
フリーランスや自営業の場合は自ら納付する必要があります。
社会人になってからの納付についてはみなさん、ほとんど行っていると思いますが、納税期間は20歳から義務付けられており、まだその頃学生だったりして納付していない方って結構いるんじゃないでしょうか。
僕もそのうちの一人でして、学生納付特例制度を申請し、大学在学期間の納付については10年間猶予をもらっています。
その10年間の猶予の中で国民年金保険料を納付することを”追納”といいます。
今回はその”追納”をするべきなのか、しないほうがいいのか判断基準をまとめていきたいと思います。
追納するかどうかの判断とは?
早速結論から言いますと、
すでに資産形成(つみたてNISAやiDeCo)をはじめており、30年以上経ってから受給する年金の総受給額の差に対して今、追納する金額を比べたとき、「投資の方がいい」と思ったら、追納はしない方が良い。
また、追納期限までに資産形成をしていないなら、追納した方が良い。
だと考えます。
その理由をこれからまとめていきます!
学生納付特例制度について
まずは学生納付特例制度について解説します。
学生納付特例制度を利用できる条件とは、
- 本人の所得が128万円以下(令和2年度以前は118万円以下)であること
- 大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校の学生であること
この2項目を満たせば誰でも利用できる制度で、最大10年間の国民年金保険料の支払い猶予を得られるというものです。
なお、学生納付特例制度を申請した期間は受給資格期間の算定には含まれます。
年金を受給するためには年金の納付済期間が10年以上必要なのですが、学生納付特例制度の期間は仮に納付しなくても期間の算定には含めることができるということです。
もちろん、その期間の年金を追納しなかった場合は、その分受給額は少なくなります。
追納のメリット
追納することのメリットを挙げていきます。
年金受給額の増加
1つ目は当たり前のことですが、追納することで受給額が増えます。
例えば、22歳で大学を卒業し、23歳の年度から社会人になり、大学時代の納付義務を特例制度で回避し、その後追納をしなかった場合、1年間でもらえる年金受給額は、以下のようになります。
780,900円とは、令和3年現在でもらえる基礎年金の満額です。
満額もらうためには40年間(480ヶ月)分の納付が必要になりますが、3年(36ヶ月)分未納状態なのでこの式となります。
よってその差は、1年間で58,567円となり、仮に90歳まで受給したとすると、1,464,175円の差になります。
追納額が全額税金控除
国民年金保険料の追納は、すべて社会保険料費として計上されるため、所得控除され、所得税・住民税を下げることができます。
課税所得金額 | 所得税率 | 住民税率 |
1,000円〜1,949,000円 | 5% | 10% |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | |
18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | |
40,000,000円以上 | 45% |
この表は課税対象所得金額に対する所得税率と住民税率を示しています。
課税所得金額が300万円だとすると、所得税率10%・住民税率10%となります。
この場合、年間に追納を20万円したとすると、課税所得金額が280万円になり、所得税・住民税ともに2万円ずつ安くなります。
追納のデメリット
次にデメリットを挙げていきます。
追納してから受給までの時間が長すぎる
どういうことかと言うと、20,21,22歳のときの未納分を30,31,32歳までに追納するわけですが、年金を受給できるのは基本的に65歳からなわけです。
32歳にすべての追納が終わっても、お金をもらえるようになるのは33年後です。
その間、満額になった年金保険料は増えることもなく僕が受け取るまで、じっと待機させられているわけです。
株式投資や投資信託をつみたてNISA等で行い、資産形成をしている方であれば、これがどれだけもったいないことかわかると思います。
33年も投資信託を保有していれば、元金はすごい成長をしているのではないでしょうか。
これは、国民年金の今後の納付すらしなくても良いと言っているわけではなく、一度納付を免除され、猶予期間が与えられた分については、自分でどっちの方が資産形成上有利なのかを考えてもいいのではないかということです。
将来の年金受給額が今より下がる可能性
日本は少子高齢化が著しく進んでおり、年金の財源が不足してしまうのではといった不安もあります。
そもそも年金の増減は「物価変動率」と「賃金変動率」によって決まり、どちらか低い方に合わせて年金額が決定する仕組みになっています。
ちなみに令和3年は前年度に比べ、「物価変動率 0%」「賃金変動率 -0.1%」だったため、前年度より受給額が減少しています。
将来、僕らが受給年齢になったとき、どうなっているかなんてまだ誰にもわからないため、下がる可能性も十分考慮する必要があると思います。
まとめ
今回は年金の追納について考察してきました。
- 学生納付特例制度とは、学生であれば義務である国民年金保険料の納付を10年間先延ばしにすることができる制度
- 追納のメリットは、年金受給額の増加及び追納額が全額所得控除の対象
- 逆にデメリット1つ目は、追納から受給までのスパンが長すぎるため、追納するはずの金額で投資信託等を購入し長期保有したほうが資産は増えるのではないか
- 2つ目は、将来の年金受給額が今よりも下がる可能性もある
このことから、資産形成を始めている人は、追納せず、投資資金とするべきだし、資産形成を何もしていない人は追納し受給額アップ及び税負担の軽減を狙うべきだと思います。
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